このページをご覧の方の中には、すでにPMP試験合格に向けた学習を始めている方もいるでしょう。
一方で、興味はあるものの「何から手をつければいいのかわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
PMP試験は、ただやみくもに勉強を進めればよいというものではありません。出題範囲が広く、ウォーターフォール型からアジャイル型、さらには開発方法論や全社PMOの機能にまで及びます。
単なるプロジェクト管理の知識を問う試験ではなく、「シナリオ問題」の形式をとって、実務での判断力や応用力が求められます。また、自分の経験に基づいた考え方が、そのまま試験で正解になるとは限りません。PMP試験では、「PMIイムズ」と呼ばれる理想的なマインドセットに沿ったアプローチが求められるため、そこを理解して対応することが重要です。
日々の仕事をこなしながら、家族との時間を大切にしつつ、限られた学習時間と費用を捻出する --- 多くの受験生が、この現実と向き合いながら試験勉強を進めています。
このページでは、そんな私たちと同じ「普通のビジネスパーソン」が、最短で合格するために何ができるのかを考え、誰でも実践できるシンプルな方法を紹介しています。ホップ、ステップ、ジャンプで合格に向かって飛躍するイメージを持つことから、3ステップ勉強法と呼ぶことにします。(図をクリックすると拡大します)

図:3ステップ勉強法
HOP:自分の弱点を冷静に把握する
『PMBOKガイド』は、プロジェクトマネジメントの実務者向けに作られたガイドブックであり、PMP試験対策用の教材ではありません。そのため、広範囲の内容が抽象的に記述されており、特に初学者にとっては理解しづらい部分も多いでしょう。
試験対策としては、最初からすべてを暗記しようとするのは、決して無駄ではないものの、あまり効率的とは言えません。
まず大切なのは、PMP試験の全体像を把握し、自分の生活の中で学習時間をどのように確保するか、おおまかな見通しを立てることです。そして、もう一つ重要なのが、「試験に合格する」という視点で自分の弱点(Knowledge Gaps)を冷静に分析すること。
※ここでいう弱点とは、プロジェクト・マネジャーとしての資質ではなく、PMP試験に合格するために不足している知識やスキルを指します。
たとえば、アジャイル全般の知識が足りないのかもしれませんし、シナリオ問題の解法が身についていない可能性もあります。あるいは、チームや人間関係に関する基本的な考え方が、PMIの求める視点とズレていることもあるでしょう。重要なのは、限られた時間やリソースを漠然と分散させるのではなく、ECO(Exam Content Outline)と呼ばれるPMP試験の枠組みに沿って、得点向上につながるポイントに的を絞ることです。
ーまとめー
最初のステップでは、以下を意識しましょう。
☑︎ PMP試験とはどのようなものかを体感し、合格までの学習計画を立てる
☑︎ 「試験に合格する」ために、自分の弱点(Knowledge Gaps)を客観的に把握する
重要なのは、「試験に合格する」ために足りていないものを正確に理解することです。
STEP:重点領域を中心に3か月間、継続的に学習する
自分の弱点(Knowledge Gaps)を把握できたら、それを踏まえて学習計画を立てましょう。
例えば、ステークホルダーとの関係構築に課題があるのか、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)の計算に自信がないのか、それともアジャイルの用語やマインドセット自体が曖昧なのか、人それぞれ弱点は異なります。模擬試験の分析結果や『講評』を活用し、オンライン問題集やPMBOK、市販の参考書、セミナーなどを組み合わせて、弱点補強に重点を置いた計画を作成することが大切です。
学習時間の確保も重要なポイントです。毎朝5時から7時までの2時間を確保するのが理想ですが、通勤時間の15分でも貴重な学習機会になります。3か月で合格する人もいれば、2年かけてじっくり準備する人もいます。学習にかかる時間の目安はあっても、最終的には自分のペースが何より大切です。自分の時間は、自分自身でコントロールしましょう。
学習を進めるうえで、スマホを活用して問題集を解くのも効果的です。ただし、大切なのは正解数ではなく、誤答の分析です。間違えた問題の解説をしっかり読み、出題意図や「本来どのように考えるべきだったのか」を確認しましょう。ECOの枠組みと常にマッピングすることで、知識が整理され、自然と試験の構造が見えてきます。そうすれば、闇雲に学習を続けるのではなく、目的地の見えた状態で進むことができるはずです。
ーまとめー
この段階では弱点領域を中心に、知識の定着をはかります。
☑︎ 模擬試験の分析結果をもとに、オンライン問題集を活用しながら計画的に進める。
☑︎ 「朝5時~7時の2時間」「通勤時間の15分スマホ学習」など学習を生活習慣化する。
特に重要なのは、何問正解だったかではなく誤答について、「正解を導くために、どうのように考えるべきだったのか」という意識を常に持つことです。
JUMP:本番試験を想定し、時間制約下でシミュレーションする
週末は模擬試験に取り組み、特に誤答の見直しに重点を置きます。
単に間違えた理由を確認するだけでなく、解説をじっくり読み込み、出題の意図や「どのように考えるべきだったのか」を整理することが重要です。自分が苦手とする領域を明確にし、少しずつ克服していくことで、試験本番でのミスを減らせます。模擬試験のECOごとの得点や分析結果を活用し、特定のタスクやイネーブラを意識しながら、類似問題を繰り返し解くことで、知識をより確実なものにしていきましょう。
この段階で、試験対策として特に意識すべきなのが、解答時間のコントロールです。PMP試験は180問を230分で解くため、1問あたりの目安は約77秒。1問に時間をかけすぎると、後半で焦る原因になるため、各60問ごとにペースを確認する習慣をつけましょう試験中は、時間が足りなくなることも想定し、必要に応じて難問を後回しにしたり、見切る判断も求められます。本番の緊張感の中で持続する集中力を鍛えておくことが、合格への大きな支えとなります。
また、PMP試験対策は長期戦になるため、週に1日はできるだけ家族や自分の時間を確保し、心身のリフレッシュを意識することも大切です。学習の継続はもちろん重要ですが、無理なく持続できる計画こそが、最終的に合格への一番の近道になります。
ーまとめー
弱点領域の撲滅とともに、特に重要なのが、解答時間のコントロールです。
☑︎ 180問・230分(1問あたり60秒~約77秒)を意識して時間管理する。
☑︎「時間切れ」を起こさないように、後回し、見切り、ペース管理スキルを習得する。
本番の予測不能な設問に晒される緊張感の中で、「集中力を持続できた経験」が、合格への大きな支えになります。