2021年、PMBOK®ガイドは新しいバージョンがリリースされました。PMBOK®ガイド第7版と呼ばれるこのガイドブックは、複雑で膨大なプロジェクトマネジメントの知識について、さまざま産業界に属する各国のプロフェッショナルの意見に基づいて編集された、いわば現時点の到達地点を示した知識体系であると言っても過言ではありません。この体系には産業界で利用されているスケーラブルなプロセスグループ(プロセス群)のモデルとともに、適応型、カンバン、などさまざまな方法論や実務慣行が幅広くカバーされています。

一方、米国PMIは引き続き、デジタルコンテンツの形式で、旧第6版のダウンロードサービスの継続をアナウンスしています。さらに、2022年度の終わりにも、第7版リリースを前提とした新しいプロセスモデルの発表があると言われています。※1

 

※1 予告どおり、PMIから「Process Groups: A Practice Guide」がリリースされました。
「Process Groups: A Practice Guide」では、この5つのプロセスグループに49のプロセスが配置され、一つ一つのプロセスに関連するインプット、ツール、テクニック、アウトプットが整理されています。「Process Groups: A Practice Guide」は、2023年度以降、PMP試験受験生にとって「アジャイル実務ガイド」とならぶ重要なリファレンスとして存在感を増してゆくものと思われます。

https://www.pmi.org/pmbok-guide-standards/practice-guides/process-groups-a-practice-guide

(2023.2.4更新)

 

最初にこの「最速合格のヒント」を書き始めたのは、2014年ですので結構な時間がたっています。第7版リリースのタイミングで見直したところ、あまり手を入れる必要がないことがわかって、あらためて第6版の汎用性の高さに感心しました。

第7版のプレリリースの時から、PMIの関心が上位のレイアに移っていることはわかっていたので、第7版のプロセス・グループの記述がそっけなくてもあまり気になりませんでした。ただし、エンタープライズを前提にプロジェクト管理を基礎から学ぼうとする学習者にとっては、やっぱり第7版はアウトラインに過ぎる。
なので、アジャイル系については「アジャイル実務ガイド」、プロセス・グループ・モデルに関しては日本語版リリースが期待される「Process Groups: A Practice Guide(プロセス・グループ実務ガイド)」、およびPMBOK®ガイド第6版を参照しながら、という形になりそうです。

 

 

「最速合格のヒント」では、プロセス・グループ・モデルに関するガイドとして評価の定まった第6版を中心に、PMP試験合格そしてプロジェクト管理知識習得のための、シンプルで核心的な学習のヒントについて解説しています。 ハイブリッドやPMIイムズなど最新の試験動向にロックオンしつつ、役に立ちそうなところを適当につまんでご活用ください。

 


 

プロジェクト・マネジャーの仕事を、立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結という 『5つのプロセス群』に分けて、詳細なガイドラインとして記述したものが『PMBOK®ガイドライン(第6版)』と呼ばれるテキストです。 『PMBOK®ガイドライン(第6版)』 では、5つのプロセス群をさらに、10の知識エリアでマッピングしています。

プロセス群と知識エリアは縦糸と横糸のように関連しそれぞれツールと技法とともに詳細に定義されています。『PMBOK®ガイドライン(第6版)』は、片手でもてないような分厚い書籍です。 PMP資格合格を目指す皆さんは、無味乾燥な『PMBOK®ガイドライン』をあたまから丸ごと暗記してゆかなければならないのでしょうか?

答えはNOです。記憶力の抜群な方ならやれないことは無いかもしれませんが、かならずしも効率の良い勉強方法とは言えません。超難関校に軽々と合格する人工知能と超アバウトな人間の脳では勝負がついています。BOK(知識体系)型の試験勉強はコンテキスト(文脈)を味わいながら理解してゆかないと消耗する一方です。逆に、シンプルなフレームワーク(骨格)に沿ったコンテキストで記憶すると、人間の脳はなかなかの記憶力と応用力を発揮します。

 

効率的に準備を進めるには「記憶の引き出し」を早めに作って、ラベル名が似たような箱に獲得した知識を格納してゆく、という記憶の仕方をお勧めします。ちなみに、引き出しの全体を納めてあるタンスがフレームワークです。ネーミングは「フレームワーク勉強法」ではなく「箪笥型記憶法」でもいかもしれませんね。

問題を解くときは、例えば、「○○状態の××を管理すること」や「△△する為のツールと技法」というラベル名の引き出しに入っているはずだ、ということがわかっていますので、『PMBOK®ガイドライン』を先頭から丸暗記するよりはるかに効率よい知識の取り出しができるようになります。

「フレームワーク勉強法」は合格者は多かれ少なかれ実行しています。PMBOKのようなBOK (Body of Knowledge) 型の試験では最強です。ぜひ、お試しください。

2014/4/5


updated 2023/2/4

(1) 「フレームワーク勉強法」の勧め(更新)