これから取り掛かるプロジェクトの作業内容、所要期間、必要なエンジニアの確保、作業着手の順番などに目途がつけば、それらの情報をもとに、ツールを使ったり、EXCELなどによる自社製テンプレートに落としてスケジュールを作成します。

スケジュール作成はプロジェクト・マネジャーが必ず行う作業です。
プロジェクト・マネジャーにとっては「あたりまえの作業」なので軽く流しがちですが、スケジュールはプロジェクト・マネジャーにとって極めて重要な意味を持ちます。

・カットオーバー日など公式に決定された日程をもとに作成される
・実際のカレンダー日付(組織の営業日)にマッピングされる
・エンジニアなどの資源投入の日程が関連部門と合意されている
・ベースラインとしてプロジェクト・マネジメント計画に組み込まれる
・すべてのステークホルダー、特に開発メンバーで共有される

プロジェクトはさまざまな要素が有機的に関連し合って、関係者が共通の目的地に向かって進んでゆくのですが、スケジュールは、それらの様々な要素や関係者の載せて時間通りに走る “貨物列車” のような働きをします。
何事もなければ時刻通りに駅(マイルストーン)で一部荷物や乗客(リソース)を乗せ換えて、プロジェクトの終着駅を目指します。

(インプット)

スケジュールは一度作成したら終わりではなく、新しいインプット情報や、更新されたより正確な情報に基づいて反復的に作成されます。

環境要因とプロセス資産を除いた11個のインプット情報のうち、以下の5個はタイム・マネジメントの知識エリアの他のプロセスからのインプットです。

・アクティビティ・リスト(アクティビティ定義)
・アクティビティ属性(アクティビティ定義)
・プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図(アクティビティ順序設定)
・アクティビティ資源要求事項(アクティビティ資源見積り)
・アクティビティ所要期間見積り(アクティビティ資源見積り)

・プロジェクトマネジメント計画書
・資源カレンダー
・プロジェクト・スコープ記述書
・リスク登録簿
・プロジェクト要員任命
・資源ブレークダウン・ストラクチャー

・組織体の環境要因
・組織のプロセス資産

(ツールと技法)

・スケジュール・ネットワーク分析
・クリティカル・パス法
・クリティカル・チェーン法
・資源最適化技法
・モデリング技法
・リードとラグ
・スケジュール短縮
・スケジューリング・ツール

上記のツールと技法のうち、クリティカルパス法(CPM)、クリティカル・チェーン法(合流バッファ)、資源最適化技法、リードとラグ、スケジュール短縮、等について、頻繁に出題されています。
必ず関連するキーワードを含む問題を確認しておくことをお勧めします。

特にスケジュール短縮については、クラッシング、ファストトラッキングの2つのキーワードの理解は必須です。”crush” とは英語で “ぐしゃっと潰す” こと。「クラッシング」は要員を追加投入して(コスト増に目をつぶって)工期を短縮することです。
「ファスト・トラッキング」は並列で実行できる(依存関係のなさそうな)タスクを先行着手して全体の工期を短縮することを意味します。
リスキーですが、日ごろ良く目にするシーンだと思います。

(アウトプット)

スケジュール作成プロセスのアウトプットの矢印が監視・コントロールプロセスの「スケジュール・コントロール」に向かっていることに注意してください。監視プロセスに引き渡されるアウトプット項目は以下の3つです。

・プロジェクト・スケジュール
・スケジュール・データ
・プロジェクト・カレンダー

要員アサインが確定しない段階のプロジェクト初期に作成される「プロジェクト・スケジュール」は、プロジェクトマネジメント計画書の完成版に組み込まれるまでは暫定版として利用されます。
「スケジュール・データ」は、マイルストーン、アクティビティ、アクティビティ属性、制約条件や前提条件などスケジュールを管理する為に必要な情報が含まれます。
「プロジェクト・カレンダー」と一般のカレンダーとの違いは、作業にあてられる日、シフト勤務の日が特定されている点です。

上記3つと一線を画しているのが「スケジュール・ベースライン」です。アウトプットの矢印は、「プロジェクト・マネジメント計画書作成」に向かっています。

・スケジュール・ベースライン

「スケジュール・ベースライン」は、承認済みのスケジュール・モデルで実績値と比較する基準として用いられます。
変更は公式の変更管理手順にのっとって行われます。スケジュールは様々な理由で変更されることがあります。

微調整を含めればスケジュール変更の無いプロジェクト少ないかもしれません。
ただし、一旦確定しメンバーや経営幹部、顧客とオフィシャルに共有されたベースラインは、内部の作業進行表などではなく、一種の社会的な約束事です。
プロジェクト成功の請負人としては右顧左眄せず、一旦承認されたスケジュール・ベースラインは公式に変更されるまでは、「その時点で必死に守り抜くべきもの」と自覚すべきです。

「スケジュール作成」を概観する図をPDFで以下に置きました。ダウンロードしてご利用ください。

6.6_スケジュール作成_ITTO_20150825

※ 本資料はプロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK® Guide)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)に準拠しています。PMI, PMBOK Guide, PMP は、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute,Inc.)の、Microsoft ProjectはMicrosoft Corporationの登録商標です。

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