今回のテーマは、誰もがいつも業務であたりまえでやっているWBS作成プロセスです。

このプロセスの目的はWBSを作ること、で間違いは無いのですが、試験対策のポイントはそのWBSで何をするか、をきちんと理解していなければなりません。このプロセスの主な目的は2つです。

・作業を分解、構造化してチーム・メンバーに担当を割り当てられるようにすること
・プロジェクトのパフォーマンス測定の為のベースラインを作成すること

当然ながら分解、構造化の明確な基準は成果物によって違います。ある成果物に関する作業は一レベルだけ階層化すれば良いのに、ある成果物に関する作業は三レベルまで掘り下げて階層化、細分化しないと作業が見えてこないケースがあります。大切なことは要素分解の粒度決めに際して健全な常識を働かせること。ただし、プロジェクト作業そのものは取りこぼしなく、かつ余分な作業を発生させないように慎重に記述します(100%ルール)。

まだ仕様も決まっていない成果物のWBSはどう書くか?決まってないものは書けないので、その部分は成果物が合意されるまで待ってからWBS作成にとりかかります(ローリング・ウェーブ計画法)。

プロジェクトのパフォーマンス測定については、WBS上にワーク・パッケージをグループ化したコスト集計のための管理ポイントを置いて、実績値をアーンド・バリューと比較することでパフォーマンス測定を行います。自分のプロジェクトを常にモニターしているPMだけでなく、月次のミーティングで各PMからのSPI、CPIの報告を監視しているPMOメンバーや、マネジメント層にとっても、パフォーマンス測定の為のベースライン作成は極めて重要なWBS作成プロセスの目的です。

さて、I/Oについては、いつものようにまずプロセスの目的から考えるので、アウトプットから。このWBS作成プロセスは、その名前からアウトプットをWBSとしたいところですが、「スコープ・ベースライン」が正解です。

(アウトプット)

・スコープ・ベースライン
[含む、プロジェクト・スコープ記述書、WBS、WBS辞書]

「スコープ・ベースライン」は、コスト見積りや予算設定などとともに、リスク特定やリスク分析でも利用されます。ところが、WBSには、前提条件、制約条件などは記載されていません。このためWBSを補完する位置づけとしてプロジェクト・スコープとともに前提条件、制約条件などの項目が記載されている「プロジェクト・スコープ記述書」がアウトプットとして加わっています。また、WBS辞書もWBSを補完する資料です。識別コード、担当する組織、必要な資源、コスト見積りなどが記載されています。

(インプット)

計画プロセス群なので、インプット項目に該当する知識エリアのマネジメント計画書は必須です。また、手順や書式、テンプレート、類似案件などの組織のプロセス資産に加えて、組織体の環境要因を忘れずに。業界特有のWBS作成標準を参照する場合があるためです。

前回までに説明した、要求事項文書、プロジェクト・スコープ記述書は当然インプットとして利用されます。

・スコープ・マネジメント計画書
・組織のプロセス資産
・組織体の環境要因
・要求事項文書
・プロジェクト・スコープ記述書

WBS作成プロセスを概観する図をPDFで以下に置きました。ダウンロードしてご利用ください。

5.4_WBS作成_ITTO_20150614

※ 本資料はプロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK® Guide)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)に準拠しています。PMI, PMBOK Guide, PMP は、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute,Inc.)の登録商標です。

(28)WBS作成ITTO

コメントを残す