コスト面から、EVMなどの実績数値と当初計画とを比べて、差異があれば問題に対して手を打つかベースラインそのものを変更するかの決定を行うためのプロセスがコスト・コントロールです。

このプロセスでは、プロジェクトに与えられた資金の支出状況の把握、それによって積みあがった実際の出来高との乖離を分析する作業がメインになります。したがって、プロセスのインプットとアウトプットは極めてシンプルです。

インプットの重要項目は、①もともとのコスト・ベースラインがなんだったのかがわかる計画書と、②金額換算したプロジェクトのパフォーマンスデータ、の2つです。
アウトプットの重要項目は、①コストパフォーマンス指標とコスト予測(これらはオーナーに定期的に報告)、②もし、大きな変更が発生するような状況になっているならアウトプットは「変更要求」となります。

(インプット)
・コスト・マネジメント計画書
・プロジェクト資金要求事項
・作業パフォーマンス・データ
・組織のプロセス資産

プロジェクトに必要となる実際の資金枠は段階的に予算の形で期ごとに組織から割当られるものがベースとなり、日々連続するコスト・ベースラインとは異なります。マネジメント予備費はプロジェクト資金要求事項に含まれます。

(ツールと技法)
・アーンド・バリュー・マネジメント
・予測
・残作業効率指標
・パフォーマンス・レビュー
・プロジェクト・マネジメント・ソフトウエア
・予備設定分析

アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)はプロジェクトのパフォーマンスと進捗を評価する方法として広く使われています。このプロセスで特に注目すべきは、コスト差異とコスト効率指標です。計算式はそれぞれ以下のとおりです。

コスト差異(CV)=EV(アーンド・バリュー)- AC(実コスト)
コスト効率指標(CPI)=EV(アーンド・バリュー)/ AC(実コスト)

ちなみに、計算式にPV(プランド・バリュー)が必要ないのは、あくまで、出来高をベースに実際のコストとの比較を行うのであって、日程計画ベースのコスト計画と比べても意味が無いからです。

もうひとつ、プロジェクトオーナーにとっての最大の関心事は残作業効率指標(TCPI)です。これは、”ブッチャけ後いくらかかるの?”という未実施の作業を終了するためのコストに関する割合です。トラブル状態や、赤字案件に転落したプロジェクトでは大注目の指標となります。BACを完成時総予算とする時、計算式は以下のとおりです。

TCPI=(BAC-EV)/(BAC-AC)

つまり、残作業(BACからEVを引いたもの)を残予算(BACからACを引いたもの)で割ったものです。ただしこの式自体はチームのパフォーマンスが低下していないことを前提とする楽観的な予測です。詳しくはPMBOKや関連資料をチェック。本番までに問題をいくつか解くことを忘れずに。

(アウトプット)
・作業パフォーマンス情報
・コスト予測
・変更要求
・プロジェクトマネジメント計画書更新版
・組織のプロセス資産更新版

品質問題が火を噴いて組織メンバー総出で、さらに他の組織から助っ人を頼んで、協力会社の人にも現場に常駐をお願いして、という状態が2か月も続くとプロジェクト原価はみるみる悪化し、赤字案件に突入します。赤字とは、組織の他の人達の稼ぎ(経常利益)を食いつぶす現象です。そのような事態では当初の開発原価計画を大事に抱えていても使い物にはなりません。コスト・ベースラインの変更要求は、役員が出席する変更管理委員会に審議事項として提出され経営者の承認を得る必要があります。




※ 本資料はプロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK® Guide)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)に準拠しています。PMI, PMBOK Guide, PMP は、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute,Inc.)の、Microsoft ProjectはMicrosoft Corporationの登録商標です。

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