大きなプロジェクトで納期遅延や品質問題で多少のトラブルがあっても、なんとかリカバリできて2年後くらいに通算で黒字案件になっていれば、個人的にはその担当PMは十分評価に値すると考えています。

赤字案件にしない為には、実行時のしっかりしたマネジメントやタフなメンタル面はもちろん重要ですが、なにより、プロジェクト開始時点で、
・スコーピング(とスコープ除外)を大きく間違えないこと
・幅広い領域に対してリスク評価に基づいたリアルなコスト見積り
ができているかどうか、にかかっています。

コスト・マネジメントの計画フェーズで行う
・コスト見積り、
・予算設定
については、実務でコストや採算管理を経験したことの無い人は、テキストや関連サイトを読み込む為に、少し多めに準備の時間を取っておくと良いかもしれません。

さて、コスト・マネジメントには、以下の4つのプロセスを含みます。
・コスト・マネジメント計画 ☚ 今回
・コスト見積り
・予算設定
・コスト・コントロール

今回は、コスト・マネジメント計画のITTOについて見てゆきます。

コスト・マネジメント計画とは、
・どうやったら上手にコスト・ベースラインを作り、
・コストそのものをコントロールし、
・ベースラインとの差分をコントロールしていけるか、
について計画するプロセスです。

(インプット)

インプット情報としては、おなじみ鉄板の4兄弟が登場します。

・プロジェクト憲章
・組織体の環境要因
・組織のプロセス資産
・プロジェクトマネジメント計画書

確認の為、ざっくり言うと、上から、ビジネスケースや目的を説明したもの、事業を取り巻く環境について説明したもの、ツールやガイドラインや書式、プロジェクト計画を記述したもの、を示します。(正確にはPMBOK Guide 5thを参照)

(ツールと技法)

コスト・マネジメント計画に含まれる分析技法には、
・プロジェクト資金の調達方法(自己資金、株式、借入など)
・プロジェクト資金の手当て方法(内外製、レンタル or リースなど)
が含まれます。

財務技法には以下3つが含まれます。
・正味現在価値
・回収期間
・内部収益率
さらに加えて
・投資収益率(ROI)
・割引キャッシュフロー
の2つが含まれます。

ROIは投資によって得られる潜在的な収益率を計算する技法、割引キャッシュフローとは、将来的な儲けを現在価値に置き換え投資の魅力を測る技法です。上記5つはいずれも代表的な技法なので、この際覚えておきましょう。

(アウトプット)

アウトプットは「コスト・マネジメント計画書」1択です。

「コスト・マネジメント計画書」は、実務では予算計画に相当するもので、コスト計画とコストコントロールの方法について記述します。多くの組織では、月次ベースでコスト・ベースラインを突発的に大きく逸脱したり、連続して計画値をオーバーしたりすると、全社PMOや、品監部門から”お尋ね”が届きます。品監部門への報告対象となるか否かの閾値は、多くの組織であらかじめ決められています。ご自身の組織の数値を確認してみてください。

もう一つのポイントはアーンド・バリュー・マネジメント(EVM)を利用する為の基準を決めておくことです。この場合の基準とは、
・EVM値測定の基準(コスト・アカウント)
・測定方法
・EACの計算式
の3つです。
測定方法とは、固定比配分か、実装済本数による達成率か、など実績の測定方法を決めておくこと。EACとは「完成時総コスト見積り」のことで、”完成したあかつきにはいったいいくらコストかかってるんだろう”、ということです。最終コストは今の延長線上に実績値を積み上げて計算しますが、その値が妥当かどうかを傾向などをチェックします。EVMと聞くと冷汗が流れる人は、早めに基本だけ理解しておきましょう。

コスト・マネジメント計画プロセスを概観する図をPDFで以下に置きました。ダウンロードしてご利用ください。

コスト・マネジメント計画_ITTO_20151122

※ 本資料はプロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKR Guide)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)に準拠しています。PMI, PMBOK Guide, PMP は、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute,Inc.)の登録商標です。

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